雇用する労働者に対して会社が採用時に求める雇用契約のひとつに身元保証契約があります。身元保証契約における契約書は労働者に提出を求めますが、契約を締結する相手は身元保証人です。労働者とのトラブル時に身元保証人に賠償請求を行うために契約を結びます。ただ、身元保証契約は令和2年民法改正で内容が一部変わりましたので、改正後の身元保証契約の内容について簡単に解説します。
これまでは、「〇〇〇〇が貴社との雇用契約に違反し、または故意若しくは過失によって貴社に損害を与えたときは、本人と連帯して賠償いたします。」といったような『無制限』の身元保証契約でした。極端に申し上げると、数千万でも一億でも賠償するという内容になります。
身元保証人保護を目的に、身元保証人に令和3年4月以降に身元保証契約をしてもらうためには、いわゆる(極度額)を記載しなければ、身元保証書を取得しても無効となります。つまり、無制限の保証契約は無効ということになりました。
法改正前までは、身元保証契約が『無制限』でも案外、抵抗なく保証契約を締結できていたのですが、法改正後は具体的な金額を記載すると、身元保証契約にサインしてくれないということがおきています。法改正に対応した契約内容は「〇〇〇〇が貴社との雇用契約に違反し、または故意若しくは過失によって貴社に損害を与えたときは、本人と連帯して1億円の範囲内において賠償いたします。」といったようになります。金額が具体的になるとなぜか抵抗感が出てしまうために、保証人はためらってしまうのかもしれません。
会社としては、身元保証契約を締結するのであれば、高額な金額を設定したいところですが、現実的な保証内容として限度額(極度額)を設定する必要があります。よって、業界、職種なども加味すると、300万円~1千万円くらいに設定している会社が多いのではないでしょうか。
ただし、銀行、証券会社、不動産営業等の職種や経理を担当する従業員は、横領の危険も高くなるため、高額設定も検討すべきでしょう。
突然、会社に退職代行業者を名乗る者から従業員Aが退職したいとのことで連絡を受けた。退職代行業者の言う通りに退職を進めてよいものでしょうか。
退職代行業者って何?と存在自体を知らない方もおられるかもしれません。退職代行業者と一括りで言っておりますが、実は大きく分けて3つの種類があります。その種類によって、業者ができることできないことがあります。
・弁護士・・・依頼人(従業員)から退職の手続きや権利行使などを委任され交渉
・労働組合・・・労働組合法による団体交渉が可能なため、労働者が組合に加入した上で交渉
・退職代行業者・・・弁護士法違反に抵触しないように労働者の退職意思を伝えるのみ(交渉は出来ない)
インターネットなどで広告を出している利用料金が3~5万円程度の業者は「退職代行業者」の場合がほとんどです。弁護士がインターネットで広告している退職代行の業務ではもう少し相場は高いようです。退職代行業者は、弁護士等に依頼しなくても比較的安く退職の意思を伝えたい人に利用されているようです。
退職代行業者等から従業員の退職の連絡がある場合には、あわせて有給の残日数について使用したうえで退職したい旨伝えられます。また、賞与や退職金についても確認されるケースが多いです。
退職代行業者を拒否したとしても退職意思を示している従業員が退職を撤回することはまずもってないでしょう。したがって、退職意思が従業員本人の意思なのかどうかの確認は必要ですので、退職届などの書類の提出を求め、確認が取れれば粛々と手続きされることをお勧めします。
私の経験上これまで退職代行を利用されている方のほとんどは、10代~30代の若年の方ばかりです。中高年の方が依頼されているケースは聞いたことがありません。若年者は退職意思を伝えるのが苦手、もしくは退職引き留めに合うのが面倒、などというのが理由なのでしょうか。そうであったとしても、私個人の意見としては、退職代行業者に安くもないお金を払って会社を辞めるのであれば、自分の意思を会社に伝えてほしいものだと思います。
本年もあっという間に半年が過ぎてしまいました。半年前は、まだまだコロナ禍からやっと通常の生活に戻りつつあるという状況でした。マスクをするのが日常でしたが、私は4月以降ほとんどマスクはしておりません。久しぶりにマスクをすると違和感と暑くなってきたせいもありますが、息苦しさを感じます。半年前までは、マスクすることが当たり前で息苦しさをあまり感じなかったのですが・・・。
さて話が変わりますが、例年8月の最終日曜日は社会保険労務士試験日です。今年は8月27日が試験日となります。弊所の職員5名が受験予定です。試験に合格したら、急にプロになれるわけではありませんが、試験に合格することで一定の知識があることを証明することができます。したがって、弊所では一人でも多くの職員に試験に合格し、より質の高いサービスを提供できる職員を増やしていきたいと考えております。ここ数年は、毎年社労士試験にチャレンジする職員がいるのですが、合格率が6~7%となかなかの難関試験となっています。この日のために1年間、仕事と勉強を両立し頑張ってきた職員が一人でも多く合格することを事務所全体として応援しています。
試験まで2カ月を切り、少し試験を受ける職員の勉強は熱が入っているように感じます。昼休憩には、試験対策の動画を見たり、試験問題を解いているところを最近目にします。弊所の担当職員が試験を受けるのをご存じでしたら、彼らも試験日の最後まで頑張れると思いますので、是非応援や励ましのお言葉をいただけると幸いです。
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