事務所便り

令和5年4月号

常態化する企業の人手不足~人手不足に対する企業の動向調査より

■ 人手不足企業 5か月連続で5割超

 採用活動に苦戦する企業が多くみられるなか、人手不足が常態化している企業は少なくありません。株式会社帝国データバンクが実施した「人手不足に対する企業の動向調査(2023年1月)」(調査期間:2023年1月18日~1月31日。調査対象:全国2万7,362社、有効回答企業数:1万1,719社(回答率42.8%))によれば、正社員の人手不足企業の割合は51.7%、非正社員では31.0%の高水準となっています。

■ 「旅館・ホテル」「情報サービス」「飲食店」が高水準

 業種別にみると、正社員、非正社員いずれも「旅館・ホテル」がトップで、7~8割の高水準となっています。次いで、正社員では、IT人材の不足が深刻な「情報サービス」が73.1%、非正社員では、「飲食店」が80.4%と高くなっています。その他、「人材派遣・紹介」(正社員63.2%、非正社員60.5%)も高く、人材の取り合いとなっている状況がみてとれ、外国人も視野に入れるなどの策を講じる会社もあるようです。

■ 人材の確保・定着への対応を迫られる

 企業の人手不足の割合は、コロナの影響で一時下がった業界はあるものの確実に上がり続けています。2022年には人手不足による倒産件数が2019年以来増加、なかでも「従業員退職型」が全体の4割を超えるなど、人材確保が切実な課題となってきている実態が各所で確認されています。
 人材確保・定着の施策に真剣に取り組まざるを得ない状況が続いていくことが予想されるなか、今後、自社の現況を把握し対応を検討していく必要性はますます高まりそうです。

 【帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2023年1月)」】
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p230207.pdf

2024年4月施行が検討される主な法令等の改正

 人事労務関連の法令等の改正は年度に合わせて施行されることが多くなっています。その関係もあり、2024年4月施行の法令等の改正が検討されています。以下では、多くの企業で対応が必要となることが予想されるトピックスを紹介しましょう。

■ 有期労働契約期間・上限に関する変更

 期間を定めて従業員を雇用すること(有期労働契約)がありますが、この場合には「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」に従った対応が求められます。
 今回、この基準の改正により、有期労働契約の変更または更新の際、通算契約期間や有期労働契約の更新回数について、上限を定めたり、引き下げようとしたりするときは、あらかじめ、その理由を従業員に説明しなければならないことになる予定です。
 例えば、従来は通算契約期間を定めていなかったものを5 年までと定める場合や、更新回数を4回までとしていたものを2回までにする場合が該当します。

■ 無期転換申込権発生時の対応

 有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、従業員の申し込みにより、無期労働契約に転換できるルールがあります。
 この無期転換の申込ができるようになる(無期転換申込権が発生する)契約更新時の労働条件の明示事項に、無期転換申込機会と無期 転換後の労働条件が追加される予定です。現在は、無期転換申込権の発生について、会社が従業員に周知する義務まではありませんが、この改正により、労働条件通知書等により周知する必要が出てきます。
 また、無期転換後は、有期労働契約のときとは異なる労働条件を設定することもありますが、その内容についても、無期転換申込権が発生する契約更新の際に明示が必要になる予定です。

■ 労働条件の明示事項の追加

 労働契約を締結するときには、法令により定められた労働条件を明示する必要があります。この労働条件の明示事項に、就業場所・業務の変更の範囲が追加される予定です。また、有期労働契約の場合には、これらに加え、通算契約期間または有期労働契約の更新回数の上限も追加される予定です。現在の明示事項である、「就業場所」と「従事すべき業務の内容」の欄は、雇入れ直後のものを記載することで足りるとされていますが、改正されることにより、将来の見込みも踏まえて明示が必要になります。

 2024年10月には51人以上の従業員規模に対して社会保険の適用拡大が行われ、2025年4月には高年齢雇用継続給付の給付率の上限が15%から10%に縮小されます。従業員の働き方に大きく影響するものもあるため、施行される影響の範囲を考えながら人事施策を検討していきましょう。

弊所よりひと言

 例年よりも桜の満開も早まって、春を感じる季節になりましたね。
 さて、皆様は今話題の「ChatGPT」(文章を自動生成できる人工知能ツール)を使ってみましたか。知らない方もおられると思いますので、敢えて「ChatGPT」に自己紹介してもらいました。
Q.「ChatGPTとはどのようなものですか?」
A.「chatGPTは、OpenAIが開発した自然言語処理に特化した人工知能の一種であり、GPTシリーズの一つです。GPTは、「Generative Pre-trained Transformer」の略で、大量の自然言語テキストを学習することで、人間のように文章を生成したり、言語理解タスクを解決したりすることができます。
 chatGPTは、OpenAIが公開した最新のGPT-3.5アーキテクチャに基づいて構築された言語モデルで、10億以上のパラメータを持ちます。chatGPTは、テキストベースの対話AIシステムとして活用され、人間のような自然な会話を行うことができます。chatGPTは、情報検索、文書要約、文章生成、自然言語理解などの分野で、高い精度を発揮しています。
 ただし、chatGPTは人工知能であるため、人間のような思考や感情、判断力を持っていません。また、chatGPTは学習データに基づいて応答を生成するため、偏ったデータや不正確な情報が含まれている場合は、そのような情報を反映する可能性があることに注意が必要です。」

 ChatGPTなかなか凄くないですか?上手く使えば便利ですが、一部の企業では利用を禁止しているようです。そのうち、月刊ニュースも勝手に作ってくれないかな・・・。(笑)

 

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