今後の労働基準監督署等による監督・指導方針の傾向がわかる「令和3年度地方労働行政運営方針」が策定されました。気になるポイントを見ていきましょう。
新型コロナへの緊急的な対応期を経て、ポストコロナへ政策の重心が移っていくようです。
産業雇用安定助成金やトライアル雇用助成金などを活用した、在籍型出向の活用や再就職支援を支援する、とあります。出向契約や出向に関する意向の確認などが重要となるでしょう。
女性活躍推進法の行動計画策定義務対象企業が、この4月より101人以上に拡大されています。また、新設が予定される、いわゆる男性版産休制度(子の出生後8週間に4週間の休みを取得可能とすること等が柱)も、制度の施行は2022年秋頃が予定されているようですが、どのような内容になるのか確認しておく必要があるでしょう。
今や、やっている・知っていて当然となったテレワークに関しても、取組みを強化するようです。人材確保等支援助成金による支援があります。テレワークに関しては技術的な面からも、労働時間の管理、健康管理などの労務管理の面からも、これから人事労務担当者の必須の知識となるでしょう。
また、新型コロナ感染症による労災にも注意しておきましょう。医療関係の職種だけではなく、ビルメンテナンス業の清掃員や建設業の施工管理者・営業職従事者・建設作業員、港湾荷役作業員、販売店員でもコロナによる労災が認められた事例があります。
監督・指導は長時間労働の是正に関する監督指導が中心にはありますが、今年度の運営方針では、職場のハラスメントや勤務間インターバル、同一労働同一賃金などについても触れられていますので、昨今の傾向を反映した調査・指導にも注意が必要です。
日本経済団体連合会(経団連)は、2022年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関して、政府からの要請の趣旨を踏まえた採用選考活動を行うよう周知しました。
要請の内容は多岐にわたりますが、その1つとして新型コロナウイルス感染拡大の影響も踏まえて「オンラインの活用」が挙げられており、「オンラインによる企業説明会や面接・試験を実施する場合には、その旨を積極的に情報発信すること」「通信手段や使用ツールなど、どのような条件で実施するかについて事前に明示し、学生が準備する時間を確保すること」などが要請されています。また、オンライン環境にアクセスすることが困難な学生や、遠隔地の学生への配慮も求められています。
このように今年もコロナの影響下で採用活動が進行していくことになりそうですが、22年新卒は、「真性リモートネイティブ世代」とも呼ばれます。20年新卒以降は入社後すぐにリモートワークを行わざるを得なくなりましたが、中でも22年新卒は、学校でオンライン授業とリアルでの授業、ハイブリッド型の授業パターンを経験し、リモートと対面を目的・シーンによって上手に使い分けることができるようになった世代です。仕方なくリモートとなった層とは異なり、リモートの利便性をしっかりと知り活用できる世代といえます。
22年新卒は、リモートコミュニケーションのスキルを自然に身につけているだけでなく、「リモートファースト」な価値観を持っている、との指摘もあります。そのため、組織への所属意識が希薄で、利便なリモートワークができるかどうかが企業志向に影響を与えるともいわれています。このような特性を踏まえ、採用・労務管理を行っていくことが必要であるといえそうです。
3回目の緊急事態宣言が東京、大阪、兵庫及び京都に4月25日から5月11日までの間発令されました。
これにより気になるのが、「雇用調整助成金」の特例措置が5月以降も緊急事態宣言の対象地域には、これまで同様の解雇等がない場合には100%補償(上限15,000円)が維持されるのかというところですが、ニュース作成時点では、厚生労働省のホームページを見ても情報が更新されていません。
私見ですが、緊急事態宣言が発令されると飲食業以外の業種にも営業自粛の要請等がされるわけですから、補償内容を予定通り90%(上限13,500円)とすることには相当な批判がありますし、自粛を要請されている企業等からすればやってられません。プロ野球やJリーグは無観客試合になるチケット払い戻し費用や売上の補償を政府に求めるようです。このような状況ではさすがに政府も緊急事態宣言対象地域については、これまでの補償内容を維持するのでないかと思っております。(予想が当たらなかったら申し訳ありません。)
先月のニュースで「働き方改革推進支援助成金」のご案内をしたところ、多くの問い合わせをいただきました。生産性が向上したり、効率化に資する設備投資であれば、広い範囲で対象となりますので、業務効率化のために設備等購入検討の場合は、助成金を利用できる可能性がありますのでご相談ください。
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