厚生労働省は、各労働局に対し、労働者が業務中に新型コロナウイルスに感染した場合の労災補償に関する通達(以下「通達」という)を出し、相談があった際の対応について方針を示しました。
通達では、新型コロナウイルス感染症について、従来の業務中の事故や病気の場合の考え方と同様に、業務遂行性と業務起因性が認められた場合に労災保険給付の対象となるとしています。
しかし、この感染症は、感染経路が特定できない場合が多いことが大きな問題となっています。通達では、「患者の診療若しくは看護の業務又は介護の業務等に従事する医師、看護師、介護従事者等が新型コロナウイルスに感染した場合には、業務外で感染したことが明らかである場合を除き、原則として労災保険給付の対象となること。」とし、医療従事者や介護従事者以外の労働者についても、感染経路が特定できなくても「業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因したものと認められるか否かを、個々の事案に即して適切に判断すること」と明記しています。
感染経路が特定できない場合であっても、感染リスクが高いと考えられる以下のような業務に従事していた場合は、「潜伏期間の業務従事状況、一般生活状況等を調査した上で、医学専門家の意見も踏まえて判断すること」としています。
・複数(請求人を含む)の感染者が確認された労働環境下での業務…施設利用者等が感染している場合等を想定
・顧客等との近接や接触の機会が多い労働下での業務…小売業の販売業務、バス・タクシー等の運送業務、育児サービス業務等を想定
また、海外出張者については、出張先国の感染リスクが高いと客観的に認められる場合には、「個々の事案に即して判断すること」としています。
5月8日時点での新型コロナウイルスに関する労災請求件数は7件ですが、今後、事業主、労働者からの相談は増えると考えられます。また、医療従事者等からは早期の労災認定を求める声も強まっています。従業員が感染した場合の労災補償、請求手続き等については、所轄の労働基準監督署や社会保険労務士にご相談ください。
新型コロナウイルス感染リスク防止の観点から急速に広まったテレワーク。騒動の中で急遽対応に迫られた職場も多いことでしょう。業態やこれまでの対応状況によっては実施が難しいところもありますし、その実施内容は職場によって大きく異なると思いますが、全国的な実施率はどのようになっているのでしょうか。
厚生労働省は、LINE 株式会社と協力して、LINE 株式会社の公式アカウントにおいて、サービス登録者に対して「新型コロナ対策のための全国調査」を3回にわたり実施し、その分析結果を発表しています(第1回:3月 31 日-4月1日、第2回:4月5日-6日、第3回:4月 12 日-13 日実施)。
調査によると、オフィスワーク中心(事務・企画・開発など)の人におけるテレワークの実施率は、第3回調査時点で、全国平均で 27%でした。緊急事態宣言前と比べて増加しているものの、政府目標の「オフィス出勤者の最低7割削減」には、この時点ではまだまだ届いていない状況です。
緊急事態宣言が最初に発令された7都府県だけで見ても、最も進んでいる東京都で 52%、最も遅れている福岡県で 20%と差があります。また、全国的には1割にも届いていない地域が多いようです。
本調査は4月中旬までの状況を示したものですので、その後、また状況は変わっていることが予想されます。実際に、これまでは「テレワークなんて無理だ・関係ない」と考えていた企業においても、この騒動の中で、どうにかテレワークを実施できないか、テレワーク下でも滞りなく業務を行えないかと試行錯誤しているところが多いのではないでしょうか。
テレワークはコロナ対策だけに限るものではありません。育児・介護、様々な災害対応の面からも必要になってくるものです。テレワークの実施状況が今後の企業経営にも大きく影響してくることにもなりかねませんので、これを機に自社でも真剣に検討していきたいところです。
ようやく緊急事態宣言が解除されましたが、弊所ではサービス業を中心に危機的状況のお客様からの雇用調整助成金や整理解雇の相談が先月に引き続きとても多い状況です。小学校休校等助成金が4月1日から上限15000円に改定されましたので、雇用調整助成金も同様の措置が取られる可能性が高いと思われます。(確実な情報は、6月中頃までに確定するでしょう。)
緊急事態宣言以降、弊所では在宅勤務、自動車通勤などできるだけ人の接触を避ける方法をとってまいりました。原則、お客様との打ち合わせもZoom、Meetを利用したウェブ会議を利用し、在宅勤務職員とも常にZoomでやり取りできる環境を整えました。
この2カ月間で改めてこれまでの仕事の進め方や方法について考える良い機会となり、職員からも在宅勤務のメリットデメリットはさまざまな意見があり、せっかく根付いた在宅勤務制度は継続しつつ、通常の勤務との併用をしていこうと考えております。
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