就業規則を作成して労働基準監督署へ届出をすれば、就業規則に規定している内容が有効になると思いませんか。残念ながら労働基準監督署へ届出をすれば有効になるわけではありません。就業規則が有効となるためには、規定している内容が合理的であること及び就業規則を労働者に周知していることが要件となります。
「周知していること」とは労働者に就業規則をコピーして渡すことまでは求められておらず、労働者が就業規則を確認したいときにいつでも確認できる状態にあることです。
会社によっては、就業規則を作成して大切に社長室の書庫に保存しているようなことをよくお聞きしますが、それでは就業規則の内容を従業員が知る術がないわけですから、周知していることになりません。
就業規則が周知されていない場合に問題となる代表的な例は、懲戒処分をするときでしょう。
例えば、従業員が会社の金銭の横領をしたことが発覚した場合に、会社は就業規則に定める懲戒規定に沿って懲戒処分をします。しかしながら、就業規則が労働者に周知されていない場合は、就業規則の有効性について争われることがあります。会社としては、従業員が犯罪行為や規律違反をしたときのために、就業規則で懲戒規定を定めているにもかかわらず、どのようなことをしたら懲戒処分がされるのか従業員に周知していなければ、懲戒処分が無効になる可能性があります。何のために就業規則を作成しているかこれではわからないですね・・・。
このようなことがないように、従業員には就業規則を必ず周知しておきましょう。お勧めの周知方法は、社内ネットワークなどにデータとして保存しておき、全社員に就業規則のデータの保存場所を案内しておけば、就業規則の変更の都度、プリントアウトして配布する必要もないので合理的です。
時間外休日労働に関する協定書、変形労働時間制の協定書、育児介護休業に関する協定書など、労使間での協定書を作成する際に、労働者代表と協定書の締結をします。過半数労働組合があれば、労働組合の代表者である委員長などが労働者代表となりますが、労働組合がない会社のほうが現在では多くなっています。そこで、労働者代表を会社が指名したり、労働者代表の選出方法が民主的ではない場合は、そもそも労働者代表の資格がない人と会社が協定書を締結することになるので、協定書は有効にはなりません。労働組合がない会社の労働者代表の選出は、会社主導でするわけにもいかず、労働者同士で決めてくれればよいのですが、労働者が多い会社では、立候補方式、他薦方式など選挙のようなことをして決めてもらうしかないのです。面倒な手続きではありますが、協定書の締結を有効にするためにも労働者代表を適切に決めてもらうようにしましょう。
2019年4月1日施行の労働安全衛生法の改正以前は、自己申告制による労働時間の把握も一定の要件において認められていましたが、原則として、「タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法」により労働者の労働時間の把握をしなければならないことになっています。(労働安全衛生規則第52条の7の3)
労働安全衛生法改正から4年を超えていますが、零細企業などで現在でも自己申告制による労働時間を把握しているケースは見られますので、改善が必要でしょう。なお、改正により、管理監督者やみなし労働時間制が適用されている労働者などについても、客観的な方法による労働時間の把握が必要となります。
厚生労働省が定める「客観的な労働時間の把握方法」は、ガイドラインで以下の方法が紹介されています。
・使用者が現認し、記録する
・タイムカード、ICカードといった客観的な記録を基本として確認、記録する
労働時間の把握義務については、適切に会社が労働時間を把握していない場合、未払残業代や長時間労働の訴えを労働者から主張された場合に、客観的な労働時間の証拠がないということになり、労働者の主張が認められる可能性が高くなります。よって、会社を守るためにも客観的な労働時間管理が求められるでしょう。
手軽に労働時間管理をするのであれば、安価なタイムカードでもよいですが、タイムカードの問題点は、時間外労働を命ずる場合に36協定の範囲内でしか命ずることができませんが、現在の月の時間外労働の合計時間をすぐに把握ができないことにより、36協定の範囲を超えて時間外労働をしたことを給与計算時にしかわからないことです。リアルタイムでの労働時間把握が必要となれば、ICタイムカードやクラウド型の勤怠管理システムがお勧めです。
また、クラウド型の勤怠管理システムでは、年次有給休暇の管理も簡単に管理することができ、年間5日以上の年次有給休暇の取得義務化への対応としても、現在の有給取得状況も瞬時に把握できますので、近年では多くの会社で導入が進んでいます。
先日、福岡に仕事で出張に行ってきました。コロナ禍の際は、ビジネスホテルはどこも空いていて最安値5千~6千円くらいで泊まれていましたが、今回は2、3週間前にもかかわらず、予約しようとホテルのサイトを探すとなんと相場が2~3万円くらいでした。最近、東京も大阪もビジネスホテルが高過ぎて、日帰りにしようかと思うくらいです。実際に福岡市内も韓国人が一番多くて、次に中国人も多い感じでした。
残念ながら弊所のような業種はインバウンドの恩恵はまったくなく、どちらかといえば先述のようなマイナスの影響があります。それにこれだけホテルが高くなると家族旅行も行くのに躊躇してしまいます・・・。
年末年始は、大型連休で9連休の会社も多いかと思いますが、なかなか旅行のハードルは高いので、私は自宅と近隣のお出かけ程度で過ごしました。
もう、旅行も気軽に行ける時代ではなくなってしまうのが残念です。
Copyright © 社会保険労務士法人ウィズロム® all rights reserved.
PAGE TOP