ちいさな会社のためのミニマルな人事制度【ウィズロム式人事制度の考え方】
「企業は人なり」
よく耳にする松下幸之助氏の言葉です。
みなさんの会社には人事制度はあるでしょうか。
・なんとなく必要であることはわかるけれど、どうすればいいかわからない。
・現状の人事制度がなんとなくうまくいっていない。
・不満の原因になってしまっている
・鉛筆なめなめ社長または幹部がすべて判断して決めている。
・人事制度の導入を検討するもコンサルタントの費用がとても高額・・
そんな会社は多いのではないでしょうか。
そもそも人事制度が小さな会社に必要かについて考えていきます。
目 次
●人事制度とはなにか
●人事制度はぜいたく品??
●人事制度に対する本音
●人事制度に価値はあるか
●評価制度は覚悟が必要
●「採用」=「会社のミライ」
●誰を船に乗せるか、どの船にのるか
■人事制度とはなにか
ここでは人事制度について次の4つの制度のことと定義します。
・評価制度【能力の判断】
・賃金制度【報酬のルール】
・等級制度【役割の明確化】
・採用制度【誰を会社という船に乗せるか】
この4つの制度はそれぞれが密接につながりあっています。
この密接なつながりを持つ人事制度を一言でいうと
「ひとを管理する仕組み」ではなく、
「ひとが育つ仕組み」です。
人事制度を活用して目指す目的は「成長」だとわたしは考えています。
つまり人事制度は目的ではなく手段です。
この視点を勘違いしている会社が多いように思います。
まずは「目的」を明確にすることが第一歩です。
ハードルは下げましょう。
正しく行うことは目的ではありません。
成長という目的に近づいていればOKです。
「人事制度」を磨いていくこと
それこそが会社の風土をつくりあげていく過程だと
わたしは思います。
■人事制度はぜいたく品??
人事制度がなかったとしても会社は業績を上げている会社はたくさんあります。
例えば
・経営者が売れる商品を開発したりアイデアを実現できる
・売上の多くを占める優秀な営業がいる
・社長のトップダウンですべて決まってうまくいく
・なんとなくこれまでやれている
このように人事制度がなかったとしても会社が回っているように見えます。
会社は何となく回っているので人事制度に対する優先順位は低いのです。
ではどの時点で必要性を感じるのでしょうか。
会社の成長のステージをまとめてみます。
● 創業期・・・会社を軌道にのせる時期
(まずは会社がなくならいことが最優先)
● 成長期・・・事業が軌道にのりはじめ規模が拡大していく時期
(ひとも増え、事業以外の問題が起こる時期)
● 安定期・・・事業が安定してきている時期
(事業は安定しているが、人材確保や人材育成に課題を抱える時期)
● 衰退期または再成長期・・・事業の業績が悪化するか、新しい事業により現状を維持するまたは再成長する時期
会社が人事制度の導入を検討するステージは「安定期」が多いように感じます。
創業期および成長期の優先順位は事業をとにかく安定させることが最優先だからです。
事業が安定してきてやっと視野が広がります。
そしてようやく人事制度の重要性について意識を傾けられるようになります。
ある程度の人事問題はもちろんあるでしょう。
なんとかしのいでいるというのがあっているかもしれません。
つまり、人事制度構築は余裕があるときにやっと検討する「ぜいたく品」のようなイメージです。
ただ導入時期の最適な時期は「創業期」だというのが個人的な私の考えです。
事業の成長において創業メンバーのみを想定しているのであれば必要がないかもしれません。
そのメンバーであれば会社の思いを共有しているからです。
もちろん方向性の違いやお金の問題があればなかなかいっしょにはできないでしょう。
この問題が起こる時期は成長期以降が多いと思います。
ただひとの力を借りて事業を拡大していくことを想定しているのであれば
ひとを活用する大枠は検討しておくことをおすすめしています。
大枠とはなにか、
それが「経営理念」です。
「経営理念」とは世の中のどんな課題を解決したいのか、
それはなぜなのかを明確にすることです。
つまり、「人事制度」を「経営理念」からスタートすることが一番効率的です。
もちろん、具体的な実行に移る時期はもう少しあとになることになるでしょう。
途中で変わることもあるでしょう。
ですが、会社が目指す方向を示すことは人事制度の第一歩だと思います。
そう考えると、人事制度はぜいたく品ではなく、アイデアや製品と同じように大切なものではないでしょうか。
■人事制度に対する本音
「手入れをしない人事制度なんてないほうがいい。」
わたしの本音です。
手入れをしていない土地を購入して種をまくようなものだと思うからです。
つまり、なんの養分もない土地に「人事制度」という種をまいてもうまく育ちません。
こつこつ土壌を耕して養分を加えてよく育つような土壌にしていくには根気が必要です。
手入れをしない土地は雑草が生え荒れ果ててしまいます。
荒れ果てた土地をみながら購入しないほうがよかった・・となるのです。
つまり、取り組み方次第では大きな負債になりうるということです。
■人事制度に価値はあるか
「価値」はあります。
それも大きな価値です。
冒頭の「企業はひとなり」を体現できるとどうなるか。
企業は成長できることになります。
・ひとが成長する仕組みがある(養分たっぷりの土壌)
・仕組みがない(手つかずの荒れ果てた土地)
どちらの会社が成長できると思いますか?
こたえはシンプルだと思います。
■評価制度は覚悟が必要
最近、とくに相談が多いのは「評価制度」です。
日頃、仕事に自信があるにひとにとってはウェルカムでしょう。
ただこの「評価制度」はほんとに曲者です。
人事制度の中でも最も頭を悩まします。
いつのまにか形骸化しているもの、それが「評価制度」です。
まだそれでもましなほうだといえます。
評価制度は会社と労働者の信頼関係を破壊するマシーンとなる可能性さえあります。
私が思い浮かぶのは「M-1グランプリ」です。
審査員は相当なプレッシャーだそうです。
なかなか引き受けてもらえないという話もありました。
それはなぜか、
参加者の人生がかかっていると言っても過言ではないからです。
それほどの思いをもって評価するという自覚が審査員にはあるからです。
漫才のスキルももちろんありますが好みもあるでしょう。
観客の笑い声を基準にするひともいるでしょう。
ひとがひとを評価することはほんとに難しいものです。
仮に「松本人志」ひとりが独断と偏見で採点したとします。
おそらく文句をいうひとは少ないのではないでしょうか。
また、実績のないお笑い評論家が採点した場合、
多くのひとが納得できないと想像できます。
違いはどこにあるのでしょうか。
評価制度において正しさよりも大事なのがこの納得感です。
この「共感」こそが評価制度を行う上で大きなポイントとなります。
つまり、「何を言うかではなく誰が言うか」
「M-1グランプリ」は松本人志が審査員をしているという事実が
芸人にとって大会自体の価値を高めているような気がします。
そのくらいひとがひとを評価することはあいまいです。
正しさだけを求めるのではなく、共感を得られるかが大切だということです。
■「採用」=「会社のミライ」
採用にかける戦略がとても弱い・・。
常々社労士としてクライアントと接せる中で正直に感じることです。
労働者の能力が会社の成長に直結します。
つまり採用は毎月何十万円というひとへの投資です。
問題を起こしてしまう、思っていた働きをしてくれない・・
などを繰り返してしまうとお悩みの会社は多いです。
応募者を見極める手段を精査せずに1回の面接でなんとなく決めてしまう。
これでは同じことを繰り返しです。
採用は戦略と忍耐です。
まずは、あらためてどんな人物が必要なのか詳細に言葉にすることから始めましょう。
人事制度の中で最も重要な戦略は採用と言っても過言ではないかもしれません。
「採用」=「会社のミライ」が成り立つということです。
■最後に・・・誰を船に乗せる、どの船にのるか。
マンガの「ワンピース」をご存じでしょうか。
海賊王になるために主人公のルフィーが仲間とともに大海原に出るストーリーです。
誰を船を乗せるかをイメージしたとき
つぎのやりとりが思い浮かびました。
泳げないルフィーはある敵に言われます。
「海に沈んでも一人じゃ上がってこれねェようなてめェに何ができる!!!」
と怒りをぶつけます。それに対しルフィは
「何もできねェから、助けてもらうんだ!!!」**
と反論。
「俺は剣術を使えねェんだコノヤロー!!!」
「航海術も持ってねェし!!!」
「料理も作れねェし!!」
「ウソもつけねェ!!」「オイ(byウソップ)」
「おれは助けてもらわねェと生きていけねェ自信がある!!!」
これを聞いていた仲間はどこか誇らし気です。
仲間を頼る船長だからこそ仲間もついていくのです。
なんでもできるひとが経営しているとは限りません。
敵は笑いながらいいます
「そんなプライドもクソもねェてめェが一船の船長の器か!!?てめェに一体何ができる!!!」
主人公のルフィーは自信満々に答えます。
「お前に勝てる」
と言ってのけます。
ルフィーの組織戦略はシンプルです。
「海賊王に俺はなる」
「お前は俺の仲間だ!」
そんな信念がひとを引き付けているような気がします。
誰を船に乗せるか、どんなひとと航海すれば後悔しないのか。
船にのせる覚悟があるのか、船に乗る覚悟があるのか。
人事制度について導入したい、運用がうまくいかない、やりかたがわからない。
ぜひ、一度ウィズロムまでお声かけください。
くじけないミニマルな人事制度を並走しながらお手伝いいたします。
社会保険労務士 岡本芳幸
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