「嫌われる勇気」を持ちましょう!③
衝撃体験④ ほめてもいけないし叱ってもいけない
■褒めることも叱ることも⽬的は相⼿を操作すること
マネジメントや⼈材育成を学ぶ際、必ずといっていいほど出てくる「もっと褒めましょう!」
アドラー⼼理学ではそれがだめだと否定します。
なぜならほめるやりとり、叱るやりとり、どちらも「上下の関係性」がそこに⽣まれてしまうためです。
つまり褒めることも叱ることも「原因がある」からではなく、相⼿を操作したいという⽬的があるからだと。
常に誰かの視線を気にしての行動が基準となってしまい、劣等感や⼈間関係に悩む大きな理由がそこに生まれるというのです。
■評価ではなくサポートを。
ではほめてもいけない、叱ってもいけない、ではどうすればいいんですか??
素朴であたりまえの疑問です。
その答えは「サポートすること」です。
だれかの課題に介⼊することとサポートすることの違いはなにか??
そこでポイントとなるのが「課題の分離」と「横の関係性」です。
少し復習です。
「⾺を⽔辺に連れていくことはできるが⽔を飲ませることはできない」ということわざ
を前回ご紹介しました。
だれかを導く関係性を築くこと(横の関係性)は⼤切ですが⽔を飲む決⼼をするのは本
⼈(課題の分離)です。
このサポートを「勇気づけ」と呼びます。
■「勇気づけ」
では「勇気づけ」をもう少し掘り下げます。
対等なパートナーになにかをしてもらったり、良い結果をだしたとき「ありがとう」と
感謝を伝える、もしくは「すごいね!」「うれしい」と⾃分の感情を伝えることはない
ですか?
つまり「感謝」や「感情」を伝えることが「勇気づけ」です。
そこには縦の関係性はありません。
⼤切なことは相⼿を「評価しない」ということです。
感情的な⾔葉を伝えられた相⼿はそのひとに貢献できたことを実感します。
だれかに評価されるのではなく、⾃分が何かに貢献できていると思えることが⾃分の価
値を実感できることに繋がります。
そんなときにようやく⾃信をもつことができ「嫌われる勇気をもてる」ようになるとい
うことです。
■ほめることは「⾃分には能⼒がない」という信念を育てる
ここで質問です。ほめられてうれしくないひとはいますか??
ちなみに私はうれしいです。
テニスのコーチに褒められたりするとかなり内⼼うれしいです。
「今の打ち⽅、いい感じですよ!」
「前よりもボールを正⾯とらえられていますよ!」
とてもテンション上がります。
でもだめだと⾔います。
少し考えてみます。
褒められる状況ってどんなときでしょう
それは「能⼒があるひとが能⼒のないひとを評価する」場合です。
つまり縦の関係性がそこにあるということになります。
その積み重ねによりどんどん主体性は失われ、誰かにほめられることが⽬的となって
しまいます。
だれかに褒めらたり、叱ってもらわないと動けなくなっていきます。
結果として「誰かの⼈⽣を⽣きる」ことに繋がっていくということです。
個人的にはそれでも褒めてもらえるとうれしいし、褒めてあげたいと思ってます。
バランスは必要だとは思いますが。
■ひとはだれかの役にたちたい
職場の中で考えてみるとどうでしょうか??
モチベーションが⾼い職場は「上司の視線を感じながらへこへこしたりびくびくしてい
る」職場ではなく、⾃分が携わる仕事で役に⽴ちたいという貢献感が強い職場とイメー
ジすると私⾃⾝とてもしっくりきました。
つまりベクトルが外を向いている職場です。
特にサービス業などは直接感謝を伝えられることが多いと思います。
業種によってこの貢献感をどう⾼めていくことができるかは⼤きなポイントのように思
います。
■「縦」ではなく「横」の繋がりを
職場、友⼈、家族、どんな関係性であったとしてもひとは「縦」か「横」で判断してい
ると⾔います。
「縦」の意識が強いひとは友⼈や家族のような⼀⾒すると横のつながりのように⾒える
関係性であったとしても⾃分より上か下かを判断しています。
常にだれかと⽐較し、勝⼿に判断することで劣等感や優越感、⼈間関係の悩みは加速し
ていきます。
「横」の意識が強いひとは⾒返りを求めずどうすれば役に⽴てるのか、喜んでくれるの
かに意識が向いています。
だれかに認められているという承認や⾃分が上に⽴っているという安⼼感、下であるという劣等感のような縦ではなく、貢献したいという横のつながりははアドラー⼼理学が⽬指す理念に直結してきます。
その理念を「共同体感覚」といいます。
⾒返りを求めない貢献感が唯⼀、⾃由で幸福だという考え⽅です。
ポイントは⾒返りを求めないという点です。
「あれだけしてあげてるのに!」
「こんなに世話してやってるのに!」
これではまったく⾃由になれていないことがわかります。
衝撃体験⑤ ⼈⽣はもともと無意味なもの
■普通を受け⼊れる勇気
⾃分⾃⾝についてなにか特別な存在だと思えるひとは少ないのではないでしょうか。
メジャーリーガーの⼤⾕選⼿やゴルフの松⼭選⼿、テレビの向こう側の⼈たちを⾒なが
ら平凡な⾃分を感じることはありませんか。
ただこの「普通な⾃分」を受け⼊れることから始めます。
⾃然体の⾃分を受け⼊れることができれば今できることに集中することができます。
そもそも⼈⽣に意味はない。
いろいろな意味を⾃分⾃⾝でつけていく
その道標がさきほども出てきた「他者貢献」だと⾔います。
だれかになにかを期待してだれかに責任を負わせる⼈⽣ではなく、誰かに何かに貢献で
きることを考え実⾏していく、そんな⾵に⾃分⾃⾝で⼈⽣に意味を積み重ねていきまし
ょうという考え⽅です。
■世界はシンプル
「⼈間関係も、働くことも⼈⽣も複雑で難しい・・」
誰もがそんな⾔い訳をして⾃分ではないなにかに責任を負わせてしまいます。
過去の⾃分や出来事、未来に向けての不安や悩みを⾔い訳にして責任を放棄することを「⼈⽣の嘘」といいます。
私⾃⾝も「いつかこうしよう、いつか本気をだそう」そんな⾵に思うことがまだまだあ
ります。
決断を後回しにしてだれかがうながしてくれるのを待っているだけかもしれません。
それを「⼈⽣の嘘」だと解釈すれば⾃分で⾃分を縛っていることに気づくことができま
す。
⼤切なことは「今ここにスポットライト」を当てることです。
選択したことに対して後悔するかもしれません。
選択したことは間違いかもしれません。
でも⾃由にその選択をできる⾃分がいることは間違いありません。
その選択をしたことに責任をもって引き受ける覚悟があればいいのです。
⽅向転換してもいいし、元の位置に戻って選択しなすのもいいでしょう。
上司や部下に恵まれていないとしても、思うとおりの結果が出ていなくても職場のなかで浮いた存在になっていたとしても「今、ここ」から⾏動することを私たちは選択することができます。
現在地から離れることも、⽬の前にある課題だけに集中することも、⾃分の意⾒を主張することもできます。
「⾃分の⼈⽣を、⾃分の責任だけで選択していく」
そう解釈すると⼈⽣はとてもシンプルに思えてくる難しくもありとても優しい本でし
た。
ぜひ、読んでみてください。
解釈はそれぞれだと思います。
もしかすると「すべての悩みは対⼈関係」から解き放ってくれかもしれません。
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