最低賃金から『逃げ恥』で思うこと
先日、2020年も最低賃金の引き上げについて発表されました。
ここ最近は平均引き上げ幅は大きく、昨年引き上げ幅は全国平均『27円』でした。
今年はどうかというと40県にて『1円~3円』の引き上げるとなるようです。
新型コロナという想定外の事態のなか例年と比べるとやむを得ないと思いますが現状、雇用を維持するために懸命に努力している会社にとってはそれでも厳しいのではないでしょうか。
ちなみに
兵庫 1円引き上げ 899円 → 900円
大阪 据え置き 964円
京都 据え置き 909円
この最低賃金の話題からふと思いました。
いまさら感はありますがようやく『逃げるは恥だが役にたつ』という数年前のドラマをコロナ自粛中に全編見ました。
(食わず嫌いで見れていなかったのですがとてもおもしろかったです!)
新垣結衣のかわいさについ目をもっていかれそうになるのですが・・
サブテーマで「仕事とはなにか?」があるような気が勝手にしました。
その中でも『最低賃金と職務満足』に関するテーマで話しているドラマの台詞を抜粋して引用してみます。(※以降少しネタバレ含みます。)
みくり(新垣結衣): ずっと考えていたんです。主婦の労働の対価について。それが、最低賃金(副業)で働くことで見えてきたんです。
みくり: 時給2000円なら耐えられるって仕事も最低賃金であれば耐えられない場合ってあると思うんです。
平匡(星野源): 金額以上の働きを求められても・・ということでしょうか
みくり: 結婚して専業主婦になるということは、生活費の保障、つまり最低賃金を受け取ることとイコールだと思うんです。でも、最低賃金はあくまで最低賃金。食わせてやっているんだから黙って働けと言われても限界があります。
平匡: でも、そんなに横暴な雇用主ばかりというわけでもないでしょう。
みくり:いい雇用主のもとでストレスもトラブルもなく働けるのであれば最低賃金でもいいのかもしれません。
平匡: つまり、雇用主次第であると。
そもそもドラマの中で二人の関係性は当初、家事という仕事に対する労務対価(時給2,000円)を支払うという「雇用契約」の関係でした。ふたりの仲が近づいていくなかで平匡さんはみくりさんにプロポーズをします。
それは平匡さんが会社をリストラされたことにより金銭的にもそのほうが合理的だと考えた結果でした。
ここでみくりさんは雇用関係から都合よく最低減の生活保障(≒最低賃金+時間無制限)に代わってしまうことに『もやもや』してしまいます。
ここで思い浮かぶのは『ハーズバーグの二要因理論』です。
これは アメリカの臨床心理学者、フレデリック・ハーズバーグが提唱した職務満足および職務不満足を引き起こす要因に関する理論です。
仕事における満足度は次のふたつに分けられます。
このふたつの要因が及ぼす影響はそれぞれ独立しているという考え方です。
■動機付け要因(「満足」に関わる要因)
働きがい・・・
満足に感じる要因は仕事そのもの(達成感・承認・キャリア形成・出世等)
■衛生要因(「不満足」に関わる要因)
働きやすさ・・・
仕事の不満を感じる要因は作業環境(職場環境・給与・人間関係・社長の考え方(理念)等)
この理論を用いて会話からまとめてみます。
みくりさんと平匡さんの関係性
◆雇用関係のままであれば
・動機付け要因・・・やや満足
雇用主である平匡さんは誠実であり、感謝も伝えてくれる(承認)がキャリアアップなどは見込めずそれほど満足要因が大きいとまでは言えない
・衛生要因・・・・・おおいに満足
時給2,000円、雇用契約書も、規則もしっかりしている。なによりも雇用主が信頼できるひとである。
◆結婚すると
・動機付け要因・・・たいへん満足。
ひととしてより認められるため満足度は上昇するが平匡さんの愛情表現が少ないので反対に低下する不安定要素もあり。
・衛生要因・・・・・不満
家事は労働だと見なされなくなることで賃金という目に見える対価がなくなり、最低限の生活保証に代わる(≒最低賃金)※しかも無制限!
そう思うとみくりさんのもやもやの原因が『衛生要因』にあることがなんとなくわかってきます。
「がんばろう!」と思う気持ちはだれかに認められたい、役に立っている、成長している実感である
「仕事がもう無理・・」と思う気持ちは「だれかと仲が悪い」とか「給料が低い」とか「社長の考え方が理解できない」というネガティブな感情である。
つまりどちらかが高まっても一方には影響を与えない別物ということになります。
給料が上げるだけでやりがいがなければ不満の解消にしかならない。
反対に達成感を味わっただけで給料が上がらなければ不満の解消にはならないことになります。
従業員の満足度を上げるためには何をすればいいか
従業員の不満を解消するために必要なことはなにか
会社ごとにこのふたつの考え方で精査し、原因をつきとめていくことから始めてはいかがでしょうか。
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