「有給義務化のルール」から半年が過ぎました・・
■年次有給休暇をとれない日本
なかなか有給の取得率が上がらない状況をふまえて平成31年4月1日より有給の義務化がはじまり、はや半年が過ぎましたが皆様の取得状況はいかがでしょうか。
あらためてポイントを解説します。
■年次有給休暇の本来の考え方
年次有給休暇は本来、一定期間継続的に心身の休養を図るという趣旨からもともと基礎日数分(6労働日)は連続して取得をすることを想定していました。世界的に見てみるとそういった背景から国際労働条約(国際労働機関第52号条約)でも基礎日数分については分割を認めていないこともあります。
ただ、有給休暇を有効に利用させるための施設が少ない等の理由から日本では分割を認めることとなった経緯があります。
このような背景から今回の有給の義務化を考えていきます。
■有休の付与義務日数である5日から控除できる日とは
・労働者が希望して取得した日
・計画的付与によって取得された日
上記の日に加えて『半日単位で取得した日』も控除して差し支えないとされています。
(H30.9.7基発0907第1号)この場合は0.5日分が控除されることになります。
※時間単位の有給は除外できる日には含まれません。
■繰越された年次有給について
10日以上有給を付与されている従業員が今回の付与義務の対象者ですが、パートの方のように繰越分も含めて10日付与されているケースは対象となりません。あくまで付与日時点での付与日数が10日以上あることが必要です。
ただし、控除対象となる日は前年度分からの繰越し部分も対象となります。
■就業規則に記載は必要か
就業規則において「休暇」に関する事項は必ず記載しないといけません。有給の時期指定を行う際には対象労働者の範囲及び時期指定の方法等について記載する必要があります。もちろんそれにともない時期指定義務についても定めなければなりません。
■5日を超える日数について時期指定ができるか
最低5日の有給をとることが趣旨ですので5日を超える部分については指定することはできません。
■最後に・・・
法律を遵守することももちろんたいせつですが職種や業種によっては人不足や業務量の過多などでなかなか現実的にとりづらいこともあるかと思います。
ただ、有給休暇を考えることは採用への影響、業務効率化、無駄な業務の洗い出し、業務量と人員とのバランスなど業務全体の取り組みを見直すことにもつながることにもなります。「有給の取得」だけではなく、まずはそういった視点から取り組まれてはいかがでしょうか。
特定社会保険労務士 岡本 芳幸
最新のブログ記事
2024.11.08
令和6年11月号事務所便り2024.10.07
令和6年10月号事務所便り2024.09.04
令和6年9月号事務所便り月別アーカイブ
Copyright © 社会保険労務士法人ウィズロム® all rights reserved.
PAGE TOP