裁量労働制について
仕事の多様化によりIT関連やデザイン考案のように労働時間と成果が比例しない業種が増えてきました。そのため「成果主義」の考え方が浸透する中で裁量労働制が注目され、導入する会社が増えてきました。では最近、厚労省のずさんな調査の対象にもなった裁量労働制とはどういったものか考えていきます。
■裁量労働制の主な種類
①専門業務型・・主にクリエイティブな業務や専門的業務(研究職や士業等)
②企画業務型・・主にホワイトカラーを対象とし、事業運営の観点から企画・立案・調査等の業務
※①、②以外にも保険の営業のように事業場外の業務に従事し労働時間を算定することが困難な業務を行う場合に利用される「事業場外労働のみなし労働時間制」という制度もあります。
■勤怠の自由
時間管理をすべて従業員本人に委ねられることになりますので出勤時間、退社時間、勤務時間帯も自由となります。
■労働時間のみなし時間の設定
1日何時間働いたことにするかというみなし時間を設定します。ただ会社が勝手に決められる訳ではなく実態に即して労使で決める(労使協定)必要があります。みなし時間が法定時間を超える場合は36協定を締結する必要がありもちろん時間外手当を支払わなければなりません。
■休日、深夜等の業務について
法定休日(原則週1回の休日)や深夜労働(22時~5時まで)については時間外手当になります。時間管理は必要ないと勘違いされている方もいますが注意が必要です。
■対象業務は限られる
法令で定める19業務が対象となります。研究職やデザイン業務等など考える業務が多いような職種が対象となります。
プログラマー等、IT関連の業界でこの制度が利用されていますが、実態的に対象業務となるかが疑わしいケースが多いように思います。
■評価人事制度について
従業員に対する評価は「成果」に応じてなされることが中心となります。正当な評価を行うシステムが構築できているかが制度を導入するうえで重要なことだと思います。
■最後に・・・
裁量労働制を採用する会社が増える中でいわゆるシステムエンジニア、営業職等に採用し、間違った運用がなされる会社が多い印象があります。裁量労働制を拡大していこうとする流れの中で反対に適法になされているか是正の強化も同時に進むと思われます。今後残業代未払い等の問題が次々に表面化するかもしれません。適正にこの制度が運用されているか今一度確認してみてはいかがでしょうか。
社会保険労務士 岡本 芳幸
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