より良い人材を得るためには?
近年、有効求人倍率は約1.5倍となり、求職者より求人数が上回る売り手市場が続いています。そのような状況においても、大企業はともかく中小企業はより良い人材の確保に苦戦を強いられているようです。日本商工会議所が平成29年3月~4月の間に全国47都道府県の4,072社の中小企業を対象に行った調査によると、介護事業、運輸業、宿泊業・飲食業、建設業が特に深刻な人手不足に陥っている業種として挙げられています。
また、「人員を充足できない理由として」下記の通りの回答が出ております。
(第1位) 求人募集をしても応募がなかった。
(第2位) 自社の求めていた人材ではなかった。
(第3位) 内定を出し、入社したが、定着しなかった。
企業と求職者との間で求める労働条件や資格・スキル等のミスマッチが発生しているようです。では、求職者はどのようなことを重視しているのでしょうか?
平成28年の中小企業庁の発表した資料に、現在仕事に従事している人を対象にした「今の会社に入社した理由」についてのアンケート結果が出ております。
(第1位) 仕事の内容に興味がある
(第2位) 労働条件が良い
(第3位) 能力・個性・資格を活かせる
大体予想通りの結果ではないでしょうか?
自分の興味のある仕事もしくは挑戦してみたい仕事であれば、多少労働条件が他社と比べて劣る点があったとしても、モチベーションを高く保ったまま、自発的に業務に取り組むことができ、それによりスキルアップし、または自分のキャリアを積んでいくことができるからだと思います。ただ、上記に挙げた介護事業、運輸業、宿泊業・飲食業、建設業に関しては、他業種に比べて過酷なイメージがついており、仕事内容に興味を持ってもらうことが難しいのではないでしょうか?
それ程仕事内容に興味を持っていない求職者を引き寄せる為には、(第2位)や(第3位)の理由に挙げられているように、他社より働きやすい労働条件や職場環境を提示するしかありません。
具体例をあげるとすると、有給休暇を取得しやすい環境であるのは当然のこととして、有給休暇とは別にリフレッシュ休暇やバースデー休暇を取り入れる方法があります。また、ある運送会社では会社にマッサージ師を招いて、マッサージを受けられる制度を導入しており、介護の現場などでは勤務をしながら介護の資格を取得できるように、受講料の補助やシフトの調整をし、資格取得を支援する制度を行っている会社もあります。
上記の求職者の希望を全て叶えることは難しいですが、自分たちの会社で実現可能であることを取り入れ、業務内容や労働条件を羅列するだけの求人応募ではなく、自社の特色や従業員が働きやすい職場環境を整えようとする姿勢を求職者に伝える努力をすることが今後の人材確保には必要であると思います。
藤川 恭子
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