残業リスク=経営リスク
■残業時間の上限
2月14日の働き方改革実現会議で事務局案として提示された残業時間の上限を年720時間(月平均60時間)とすることを、経営側が受け入れることになったようです。繁忙期は月100時間、2か月で月平均80時間など、例外的な措置も含めて今後、協議されていくと思いますが、今までのように残業時間を無制限にはできないことになります。
また残業時間規制の適用除外となっている運送業等にも上限が適用される方向で協議が進んでいます。
■中小企業の月60時間超の残業手当の割増率が・・・
平成31年4月1日より中小企業についても適用猶予が廃止され、月60時間超の時間外労働の割増率について150%となることが決定しています。結果的に22時以降の残業は175%となります。例えば9時‐18時の就業時間、月給30万円であれば深夜残業の単価はおよそ3,200円程度にもなります。
■行政指導の強化
「労働基準法等の一部を改正する法律案要綱」によれば、健康確保のために時間外労働に対する指導が強化されると記載されています。さらに時間外労働に関する行政官庁の助言指導では「労働者の健康が確保されるよう特に配慮しなければならない」とされています。また、36協定の特別条項の限度時間が月100時間に達した場合に行われていた労働基準法の立入調査が月80時間まで引き下げられることにもなりました。
■最後に・・
どうしても残業時間を削減できない状況もあるかと思います。仮に残業手当を適切に払って経営が成り立っているならまだ良いのですが支払っていない会社も多く未払賃金請求が非常に増えているのが現実です。この未払賃金請求リスクは今後さらに高まることは容易に想像できます。つまり就業環境の体質改善が必要な会社は避けては通れない最重要課題のひとつとなるでしょう。
健全な会社に有能な人材が流れる一方、対応をうまくできない会社は人材不足によるさらなる残業時間の増加、多額な未払賃金請求または過労死といった問題が起こるという悪循環を断つためにも残業リスクを経営リスクととらえ、真剣に改革を取り組む時期に来ているのかもしれません。 社会保険労務士 岡本 芳幸
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