コラム

労働者派遣事業はすべて許可制へ ~2015年派遣法改正とは~

2015年9月30日改正労働者派遣法が施行されました。
今回の改正での大きなポイントとして次のようなものが挙げられます。
① 26業務期間制限の撤廃等
② 新たな期間制限
③ 労働者派遣事業がすべて許可制に
④ 雇用の安定を図るための措置
⑤ 均衡待遇の確保・キャリアアップの推進

ここでは特に③について考えてみたいと思います。
主な目的は「派遣事業の健全化」にあります。
現在の特定労働者派遣事業は届出制となり許可制の一般労働者派遣事業と比べて規制がゆるやかなこともあり、違反業者が後を絶たないことが背景としてあります。そこで全て許可制にすることで業者をより高いハードルにて選別をはかることになります。また違反業者には許可取消等、厳格な指導も可能となります。

現行制度での主な相違点
■派遣労働者のパターン
・特定・・・自社の常用労働者
・一般・・・登録者・臨時・日雇い短期・自社の雇用労働者
■資産・現預金
・特定・・・要件なし
・一般・・・資産-負債 2,000万円以上
現預金の額 1,500万円以上
資産-負債 負債の7分の1以上
※小規模業者は特例あり
■申請方法
・特定・・・届出
・一般・・・許可
■法定費用(印紙代他)
・特定・・・0円
・一般・・・21,000円(1箇所の場合)

特に一定の資産・現預金要件をクリアする必要がある一般労働者派遣事業のほうが条件面においてハードルがとても高いことがわかるかと思います。つまり今後全ての労働者派遣事業を行う会社はこの高いハードルを越える必要があるということになります。
ただし、経過措置として現在、すでに特定労働者派遣事業を行っている会社は今後3年の間の猶予が与えられます。また小規模事業者が多いことから、資産要件についても暫定的な経過措置が検討されていますが事業を継続できるかどうかの大きな問題には変わりありません
この先派遣業を継続するためにはその他の改正事項も含めて早急の現状把握と対策を検討する必要があるでしょう。

社会保険労務士 岡本 芳幸

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