コラム

「セクハラ訴訟 懲戒処分は妥当か」

つい最近、ある「セクハラ訴訟」にて懲戒処分をめぐって最高裁判決が出されました。
この「言葉のセクハラ」の懲戒処分の重さに対して最高裁がどう答えるのかが注目されました。

大阪市にある「海遊館」に勤務する管理職の男性(40代)2人は、部下の女性派遣社員らに対してセクハラ発言(『彼氏おらへんの』『俺の性欲は年々増すねん』『きょうの団体さんのお母さん良かったわ』など)を繰り返したとして、会社からの懲戒処分(停職と降格)を受けました。

そしてこの懲戒処分が妥当なのかが争われました。

通常、懲戒処分は、規則で定めた懲戒内容にもよりますが、処分の段階を踏む必要があります。たとえばまずは口頭で注意する、始末書を書かせる、それでもだめなら減給にという感じです。本件では
「いきなり降格や停職は段階を踏んでないですよね!」
「本当になにかしたというわけでもなく、相手があからさまに嫌がる素振りもなく話をしただけなのに処分が重すぎる!」
という主張となります。

一審は「妥当」二審は「無効」と判断が分かれました。
それぞれの理由として
一審「上司であるのに、弱い立場にある女性従業員らに強い不快感を与える発言を繰り返し、セクハラ行為をしたことは悪質だ」
二審「女性から明確な抗議がなく、セクハラ行為が軽微とはいえないが、事前の警告がない重い処分で酷だ」

最高裁の判決は二審判決を取消し、以下の理由で「処分は妥当」だとし、会社側が逆転勝訴となりました。
・会社は就業規則などでセクハラ行為者には懲戒処分を科すと定めていて、管理職である2人は当然、認識すべきだったこと
・極めて露骨で卑猥な発言を1年半もの間、繰り返していて、停職と降格の処分が重すぎるとは言えないこと

今回の最高裁の判決は意義は大きく、セクハラだけでなく、パワハラ、マタハラ等にも通じます。つまり「言葉の暴力」に対して厳しくなる傾向となり、特に責任ある地位にある方は悪気がなくとも自身の発言には注意しなければなりません。

ちなみにこの2人は弁護士を通じて「納得できない」とのコメントを出しています。そこまで悪いことはしていないという認識のままということになります。特にセクハラ発言は相手が不快に思うかどうかも大きく影響があります。つまり笑顔で聞いているが実は不快だったと・・それが理解できない以上ある意味、根深い問題かもしれません。

岡本 芳幸

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