コラム

「たかの友梨ビューティクリニック労使紛争」① ~経緯~

現在、報道されているこの労使紛争について何が問題点で解決策はどうすればいいのか等を法的または実務的観点から考えてみたいと思います。

まずこの問題の経緯についてまとめてみました
1.同クリニックを経営する株式会社不二ビューティは「賃金未払い等の問題」(残業代一部未払い、有給休暇を取った従業員の残業代を減額した等)にて労働基準監督署より是正勧告を受けた
2.同社は「計算は勘違いだった」とし適正な労使関係の確立に取り組むといった真摯に対応する姿勢を見せていた。
3.しかし是正勧告後、同社社長 高野友梨氏が労基署に申告した女性社員を飲食店に呼び出し、「会社をつぶしてもいいのか」「組合活動をやめろ」など他の従業員の前で長時間詰問した。(その様子が録音されていた)
4.詰問をされた女性社員はそのことが原因による精神的ショックから出勤ができなくなり、所属している労働組合が労働委員会に不当労働行為の救済を申し立てた
5.同社は不適切発言等につき組合、従業員に対し、謝罪を行ったと説明した。ただし、問題の女性社員に直接語りかけたものではなかった。その場にいなかった理由として日程が急だったこと、また『高野友梨からメッセージをお伝えする』というもので内容はわからず再び圧迫されるかもしれないという恐怖を感じられたからでした。
6.その後同社ホームページにて「弊社従業員への謝罪及び弊社の労務環境の改善に向けた取り組みについて」と題する文書を公開したが内容に矛盾等が見られることもあり、同組合は正式な謝罪を再度申し入れた。
7.そんな中、仙台店の従業員と元従業員の2人が未払い賃金約1,015万円を求める訴訟を起こした。また別の従業員が妊娠した際、「お腹の張りと腰痛がひどかったのに出産3カ月前まで朝9時から夜10時まで働き、切迫早産になった」とし『マタニティハラスメント』に当たるとして慰謝料を求め訴え現在に至っている。

この問題を稀なケースだと思われるでしょうか。決してそうではありません。従業員10人だろうと5人だろうと日常的に起こりうる問題です。ただ今回のケースはメディアなどにより知名度の高い会社かつ名物社長であること、その社長の言葉が録音されていたこと等により、大きく報道されているに過ぎません。この問題は身近に頻繁に起こっているのが実情です。
またいわゆる『ブラック企業』という言葉でもわかるように現在の世論は「そんな会社なら辞めればいい」という意見よりも「そんな会社潰れたらいい」との声のほうが大きいように思います。そういった労働者側の権利意識がこのような問題が起こるたびに高まっています。つまり「今までよく考えていなかったが自分たちの環境もおかしいんじゃないか」という思いを行動に移すひとの増加につながると言えるのではないでしょうか。

次回は、同社長が「法律を守ったら会社がつぶれる」と発言した労働基準法とは?という観点から問題点を考えてみたいと思います。

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