健康診断によくある誤解とは?
健康診断によくある誤解とは?
社会保険に加入している会社であれば毎年、けんぽ協会から「生活習慣病健診の案内」が送られてきます。
「毎年一回健康診断を実施しないといけない!」との認識はお持ちの経営者の方は多いのではないでしょうか。ただ毎年案内が来る上記の健診を実施しているから問題ないと誤解されている方も多いように思えます。そこで労働安全衛生法にて実施が定められている「定期健康診断」とけんぽ協会から案内が来る「生活習慣病健診」との違いを解説します。
・定期健康診断
目的:
社員の健康状態を把握し、適切な措置を講ずることで従業員の安全と健康を確保し、快適な職 場環境の形成を目的としています。
実施義務:
「労働安全衛生法」に定められており、事業者の義務である。以下のような項目の他様々な措置を実施しなければならず不実施は罰則対象となる。
・健康診断個人票を作成(原則5年間保存)
・医師の意見徴収、それにともなう必要な措置
・生活習慣病健診
目的:
けんぽ協会が保険事業のひとつとして案内をし、「費用を補助」することで将来、要介護者や生活習慣病の予防を目的としています。
実施義務:
対象者は一般健診は35歳から74歳の方等限定としています。現在のところ努力義務となっていますので罰則等はありません。
上記で示したようにそれぞれの健診は目的や制度が異なっています。ただし生活習慣病健診の項目には定期健康診断の検査項目が含まれていることから、「生活習慣病健診を受けていれば大丈夫」という認識は間違いだとは言えません。ただし、定期健康診断として病院側に対して健康診断個人票の作成依頼、保存その他必要措置を講ずることで法的義務としての定期健康診断に代えることもできるということであり、それらを怠るとせっかく健康診断を実施したのに重大な労災事故が起こった際など、会社の安全配慮義務違反を問われかねない事態となってしまいます。会社が実施している健康診断が法的義務をはたしているかぜひご確認を。
岡本 芳幸
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