コラム

Column

2017.07.31

ブラック求人になっていませんか・・?


平成29年3月、求人と雇用契約に関する画期的な判決が京都地裁にてありました。求人情報と異なる内容を締結する際、労働者に雇用契約書等に署名・捺印をしてもらっても場合によっては無効だという判断がなされました。

■いわゆるブラック求人とは・・
優秀なひとにできるだけ応募をしてもらいたいとの理由から好待遇の求人情報を掲載し実態はまったく違う労働条件で働かせるといった問題などが総称して「ブラック求人」と呼ばれるようになりました。

■雇用契約が成立するためには・・
通常、双方が契約内容に合意しないと雇用契約は成立しません。つまり求人内容と雇用契約内容が異なっていても双方の合意があれば問題なく成立します。ブラック求人と呼ばれないためには仮に求人情報と異なる雇用契約内容だったとしても面談時等に誠意ある対応をし理解を求めることが大事になってきます。

■裁判所の評価は・・・
今回のケースでは求人情報には「正社員」「雇用期間の定めなし」「定年制なし」との記載があり、面談時にもこの求人情報と異なる要件は示されませんでした。ただし、働きはじめて10日を過ぎたころ労働条件通知書を渡され、その内容は「契約期間の定めあり」(1年間)「定年制あり」(65歳)と求人情報とは異なった内容が記載されていました。この通知書の承諾に労働者A(被告)さんは署名・押印をし会社に提出したものです。
雇用契約内容に同意して署名・押印をしてはいるのですがすでに働きはじめていたという事実しかも労働者A(被告)さんから「署名・捺印を拒否すると仕事がなくなり、収入が途絶えてしまうと考えた」との証言がありました。これらの事実について裁判所がどう評価するかが大きな影響を与えました。

■京都地裁の判断について
①面談時に求人票記載の労働条件が、労働契約の内容として成立したことを認めた。
②労働条件通知書への原告の署名押印について、「その自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとは認められない」とし、労働条件の変更についての原告の同意がなかったものとした。
③求人票の記載が応募者を誘引するためだけの空虚な記載であったこととした。
つまりはじめから多くの求人者の目を引くことが目的で求人を出し、そのうえ後出しで提示された求人情報とは異なる雇用契約内容は署名捺印があったとしても無効としたということになります。

■最後に・・・
雇用契約書を入社前に適切に締結されていない会社はまだまだ多く見受けられます。労使トラブルの多くが雇用契約書の不備が関連したものだと言えます。一方適切に行うことで多くの問題を防ぐことにもつながります。たとえば家を借りる際、あたりまえのことですが必ず賃貸借契約を結ぶでしょう。賃貸借契約書も交さないまま鍵を渡すことはしません。このあたりまえのことが雇用契約に関しては出来ていないのが現状です。トラブルが増えることも理解していただけるかと思います。今一度雇用契約を結ぶ第1歩を確認してみてはいかがでしょうか。
                                           社会保険労務士 岡本 芳幸
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