コラム

Column

2017.05.11

「ひと」の問題を改善するための処方箋~「意味付け」とは・・~

「ブラック企業」「過労自殺」「ワークライフバランス」などの言葉が一般的になり、それに関連する相談が増えています。残業代を支払うために賃金体系を変えないといけない、就業規則を整備する必要があるといったことももちろん大事ですがそれだけではなかなか問題が解決できないことが多く感じるようになりました。何が問題でどうすればよい方向に進むのでしょうか。

■問題点
① 労働者の権利意識
「仕事に対する意識が変わった」とよく言われますが、「仕事だけじゃない人生を自分らしく送りたい」と考える特に若い方が増えてきたことは実感します。ただ業務効率化に対する意識や仕事に対する向上心もあまり感じられないといった会社の不満も聞こえてきます。
会社と労働者双方の主張のずれが問題点のひとつではないかと思います。

② 会社の意識
たたき上げの経営者や管理職によく見られますが人は自分自身の成功体験を信じます。例えば長時間死ぬ気で働いて優秀な成績をおさめた人が管理職になったとき自分自身の働き方を部下に求める傾向にあります。それ自体が悪いというわけではなく、よりよい結果をもたらす方法は他にあるかもしれないという多様な視点を持つことも必要です。

③ 過酷な労働環境
特に人が集まりにくい業界や業種ではひとりに対しての負担が増え長時間労働により、現場が疲弊してしまいます。また仕事に対する士気が下がる一方になってしまいます。強靭な精神力と体力を持ち合わせたひとだけが会社に残り、対応できない人は会社を辞めてしまう。仕事はあるが人がいない・・・そのような悩みも多いです。

■改善するための「意味づけ」
「意味づけ」という言葉をご存知でしょうか。オーストリア出身の心理学者アドラーによると「意味付け」とは『人間は客観的な現象に対して、人それぞれ違う意味づけを行って主観的に見ているのであり、出来事に対する自分なりの意味づけが、自分の性格や生き方を決めている』というものです。
つまり同じ経験をしても、意味づけ次第で世界はまったく違ったものに見え、行動も違ってくるということです。
【例えば・・】
ある従業員がミスをしてしまいました。その事実はすでに過去であり、それ自体は変えようがありません。ただ「成長につながるかもしれない」と「意味づけ」をすることで原因分析を行い改善・発展につながるよう行動を起こすことはできます。「思い返すとあのミスがあったからこそ成果につながった」と思える体験を持っている人も多いのではないでしょうか。

■最後に・・
どうすれば人が集まるかどうすれば事業発展につながる人材を育成できるかどうすれば離職率を減らせるかどうすれば長時間労働がなくなるかそういった課題に対しての「意味づけ」がこれからの経営に大きく影響するように思います。
「ろくな成果も挙げず権利ばかり主張していいかげんにしてほしい」との経営者の悩みもあると思います。ただそういうひとが自然に辞めていくようなまた仕事に対する前向きな「意味づけ」を会社と労働者が共有し、同じ方向に向かえるような組織作りがこれからは必要ではないかと思います。
                                       社会保険労務士 岡本 芳幸
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